数年前のこと、ある女性誌のお掃除特集のとき、夜、編集者から「雑巾は横絞りと縦絞りのどちらが正しいのですか」という電話がかかってきました。編集部の中で意見が分かれているというのです。「えっ?縦絞り?横絞り?」。一瞬、どういうことなのかわかりませんでした。 さっそく、近くにあったタオルを絞ってみて、「私は縦絞りしているけれど、そういえば最近横絞りしている人をよく見るわ」。これが、雑巾の絞り方を、初めて意識したときです。 それから、機会があるたびに、いろいろな人に「雑巾はどう絞っていますか?」と聞きまわっています。若い人のほとんどが横絞りですが、ときには若い女の子がちゃんと縦絞りをしていたりします。興味を持って「誰かに教えてもらったの」と聞くと、「お風呂でおかあさんにタオルの絞り方を教えてもらった」とのこと。「なるほど。雑巾を絞ることが少なくなったけれど、タオルは絞ることがあるのものね」。そうかと思うと、もう少しで50歳になるという男性も横絞りだったりします。 横絞りとは、雑巾を横にして両手の拳(こぶし)を並べて握り、右手は向こう側に、左手はこちら側に回して、雑巾をねじって絞る方法です。それに対して縦絞りは、雑巾を縦に持ち、両方の拳を内側に回す方法です。横絞りは、両腕を少し曲げて両拳を逆に回すときに、いろいろな筋肉を使いますが、縦絞りは、両腕を少し曲げた状態で雑巾を持ち、腕を伸ばしながら内側に回すので、余分な筋肉を使わなくてすみます。また横絞りは、一気に絞りますが、縦絞りは一度絞ったら、手前の手で雑巾を持ったまま、先の手を持ち替えて、さらにギュッと固く絞ることができます。したがって、縦絞りのほうが固く絞ることができます。 しかも、横絞りは上のほうで絞るために水が飛び散りやすいのですが、縦絞りならば、絞った水はバケツに入り、水びたしになることはありません。ということからも、縦絞りが正しいと言われています。 ところで、私はいつのまにか縦絞りをしていたのですが、教わったはずの母とは手が逆です。母は左手が手前で、私は右手が手前。ずっと私がおかしいのだと思っていたのですが、私と同じ持ち方をして絞っている人がかなりいることを発見しました。一説によると私の持ち方は左ききの持ち方だとされています。 確かに、剣道の竹刀、ゴルフクラブ、野球のバットを持つときは、左手が手前です。それと同じように持つのが、右ききは正しいとされていますが、最近そうではないのでは、と思うようになりました。 自転車を右側から乗る人と左側から乗る人がいます。右ききは左からとされていますが、右ききの人でも右から乗る人はかなりいます。また両手の指を組んで握るとき、右手の親指が上になる人と左手の親指が上になる人がいます。これと同じように、雑巾を握るときに、違和感なくギュッと絞れる持ち方が人によって違うようです。ですからどららの手が手前にきてもよいような気がします。 横絞りに慣れた人は、やっぱり横絞りのほうが絞りやすいといいますが、少し縦絞りを練習してみてください。縦絞りのほうが理にかなった絞り方ですから。 ところで、最近「外国の人はどう絞るのだろう」という興味がわいてきました。いろいろな国で違うのでしょうか。もし知っている方がいらしたら教えてください。 |