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第4回 水の話 日本で飲食店にはいると、すぐに冷たい水が出てくる。水はただである。しかし、ドイツのレストランではこうはいかない。ドイツでは水もメニューに入っていて、ジュースより高い場合もある。ドイツの水道水は、水質がよくないので飲み水には適さない。カルキが多く含まれていて、味もよくない。だから飲み水は買うのである。スーパーに行くと、何種類ものミネラルウォーターが並べられている。コンテル、ヴィッテル、ヴォルヴィック、エヴィアン・・。どれもフランスの水だ。パッケージに山の絵がかいてある。食品をあれこれ買って、水を買うと、荷物はとても重くなる。ちょっとつらい。ミネラルウォーターの中に炭酸が入っているものがある。「なあんだ、炭酸水じゃないの。日本にもあるわ。ハイボールを作る時のあれでしょ。」といいたいところだが、日本のものとは味が違う。飲むと口の中に快い刺激が広がり、やみつきになる。「お風呂上りに冷たい炭酸入りのミネラルウォーターを飲んで、おいしーい!」と感じたら、ドイツ暮らしが板に付いてきた証拠よ。」と知り合いの日本人はいう。この飲み物は、アイスクリームとの相性もよいらしい。ドイツ人の知人と駅で偶然出会い、カフェーで一休みした時のこと、彼は「アイスクリームを食べた後は炭酸入のミネラルウォーターを飲むのが正統であり、通なのだ。」と力説し、実践して見せてくれた。私も試みたが、後味がスッキリしてとても美味しかった。 さて、困った、ドイツの水道水でお茶を沸かしたり、お料理を作ったりするにはどうすればいいのだろう、と思ったら、ろ過器という便利なものがちゃんとあった。ろ過器は合成樹脂製の便利なものがデパートの雑貨売り場で売っている。生活の必需品だからか、売り場の目立つところにあって、ウロウロ探さなくてもすぐに見つけることができた。上下二段式で、上の容器にろ材をセットし、水を入れると下の容器にろ過された水がたまるというものだ。何やら理化の実験をしているようだが、これがあれば一安心、カレーもおでんも、御飯もおいしくできるだろう。私が買ったのは小型で、一度に1リットル程度しか漉せない。食事の支度をするたびに何度も何度も水を漉した。ろ材が汚れると、水が落ちてくるのに時間がかかるのですぐわかる。十分にろ過されていない水を沸かして緑茶を入れると茶色になるし味も悪い。ろ材はまめに取り替えるよう心掛けた。 ところで、この水道水が、その他の家事にどのような影響を及ぼすかというと、例えば、洗面所で顔を洗ったとする。当然洗面台は水に濡れ、水滴も飛び散る。日本ならザーッと水で流して放っておけば自然に乾燥するが、ドイツでは必ず乾いた布で拭き取らなければならない。そうしないと、カルキが残ってこびりついてしまう。見た目も汚くなる。シャワー室も、バスタブも使い終わったら一滴も残らないように拭かなければならない。「いいお風呂だったわー。」などとリラックスしていられないのだ。洗濯をする時も注意が必要だ。洗濯機を回す時には洗剤だけではダメで、必ずカルキ取りを一緒に入れなければならない。白い粉石鹸によく似たカルキ取りは、「カルゴン」などの商品名で売られている。カルゴンのパッケージには「もしカルゴンを使わずに洗濯機を回し続けるとこうなります!」という絵が描いてあった。洗濯槽にカルキがガチガチにこびりつき、やがて機械が壊れてしまうというもの。カルキがどんどんたまっていくとまるでコンクリートを固めたようになるので恐ろしい。カルゴンの名前の由来は知らないが、何やらカルキの怪獣のようでユーモラスでもある。カルゴンの正体は塩だそうだ。食器洗い乾燥機にももちろん、カルキ取りを使わなければならない。というわけで、ドイツの水と付き合うのはなかなか気骨が折れる。水に流して、という訳にはいかないのである。 |
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